ミュージシャン


Spiritualized [Wikipedia] [YouTube] [Amazon]
奇才ジェイソン・ピアース率いる、スペース・ロック・バンド。
スペース・ロックというジャンルは僕もほとんど知らないのですが、(日本語版Wikipediaにも記事はありませんね)
「スペース」というだけあって、まるで宇宙にいるかのような幻想的で神秘的なサウンドが特徴です。
シンセやギターの使い方がとても上手で、どんどん音が重ねられていき、曲が次第に盛り上がっていくさまは見事。
メロディそのものよりも、全体の構成や雰囲気、音で勝負するバンドと言っていいでしょう。
とくに3枚目のアルバムである「宇宙遊泳」は、名作として名高いです。
それ以降はオーケストラを大体的に導入したり、ゴスペルを取り入れたり、実験性も高まっていきます。
主なメンバー
ジェイソン・ピアース
ボーカルで、フロントマン。 このバンドは、ほとんどこの人のソロ・プロジェクトと言っていい。
甘く囁くようなボーカルで、聞く人を妖しい世界へと誘う。
ディスコグラフィー
1. Lazer Guided Melodies
2. Pure Phase
3. Ladies and Gentlemen We Are Floating in Space
4. Let It Come Down
5. Amazing Grace
6. Songs in A&E
7. Sweet Heart Sweet Light
1. Lazer Guided Melodies (1992)
スピリチュアライズドのデビュー・アルバム。
恐らく一番「宇宙っぽい」のがこのアルバムです。いや、人によって宇宙に対するイメージが違うかもしれないけど。(笑)
うるさくて激しい曲が少ないです。後の作品ではギターが激しくかき鳴らされる曲なども出てくるのですが、このアルバムはそれが少なめ。
シンセやギターのアルペジオなどで演出される、優しくて神秘的な曲が多いという印象です。
1. You Know It's True
優しいギターリフから始まり、それにどんどん音が重なっていく。
2分あたりからの盛り上がりは圧巻。
2. If I Were with Her Now
真ん中のギターのアルペジオから始まる。 それに2つ目のギターが右から4つ打ちで入る。
その後しばらくして、左からベースとドラムが入ってくる。
ここで初めて、2つ目のギターが実は裏拍を刻んでいたとわかる。
(ベースとドラムがちょっとタイミングを外して入ってくるのがミソ。ここでギターの立場が逆転する。)
その後どんどん音が加えられていくが、そのリズムはベースとドラムに準じたもの。
やはり右のギターは裏拍を刻んでいたようだ。
・・・うーん凄いアイディアだ。
また、1分30秒あたりのサックスは、シンコーペーションで入ってきて、そのまま強引に曲のリズムを変えてしまう。
しかし、しばらくするとまたベースとドラムがまたタイミングを微妙に外してリフを奏で始め、強引にリズムを元に戻す。
アイディアも素晴らしいが、音の重なり方もものすごい綺麗で、とても好きな曲。
3. I Want You
左右に聞こえるファズギターが心地いい。
4. Run
恐らく曲自体はヴェルヴェット・アンダーグラウンドの「Run Run Run」を強烈に意識していると思われるが、
編曲によって全くの別物と化している。(笑)
サビで左へ右へとせわしなくうごめくシンセがいいですね。
5. Smiles
小品。1分あたりからテンポが早くなってくる。
6. Step into the Breeze
優しくて神秘的な曲。
ピアースが「カモン」と囁くと同時にキュインキュインと鳴るシンセ(バイオリンかな?)が印象的。
本当にどこかへ誘われそうだ。(笑)
8. Take Your Time
ベースがもの凄い存在感を出している。
9. Shine a Light
幻想的な雰囲気の曲。油断していると寝てしまいそうだ。
11. Sway
オリンピックを思い出させるかのような(「炎のランナー」のことね)、神秘的なメロディで始まる。
2分20秒ほどたって満を持してピアースのボーカルが登場。
そのボーカルにも強烈にフランジャーがかかっていて、神秘的な雰囲気を演出している。
12. 200 Bars
まるで医療ドラマの麻酔医のように女の人が数を数えている。
そのまま卒倒したり眠りこくったりしなければ、3分40秒あたりからピアースのボーカルが聞ける。
2. Pure Phase (1995)
1stが一番「宇宙っぽい」って書いたけど、改めて聞くと、これもなかなかだぞ。(笑)
というわけで、スピリチュアライズドの2nd。
基本的に1stと方向性に違いはないです。しかし、1stは尖ったシンセが大活躍していましたが、こちらはやや音が丸まった印象があります。
オルガンや、またホーンセクションやストリングスなどの生楽器を多く採用したことによる影響でしょう。
あと、メリハリのついた曲が増えました。曲全体、またアルバム全体の構成にも要注目です。
1. Medication
バイオリンがわめくような印象的なイントロで始まる。
その後は、オルガンが静かに響き渡る部分と、エレキギターがかき鳴らされる部分が交互に繰り返される。
非常にメリハリのよくついた快作。
その他、ドラムやホーンセクションも色付けに一役買っている。
2. The Slide Song
フルートがエスニックな、ちょっと今までの作品にはないような雰囲気を醸し出している。
4. All of My Tears
宇宙でゆらゆらと揺れているみたい。
5. These Blues
ハーモニカとドラムが大活躍している。
6. Let It Flow
「ウォウウォウ」というコーラスが印象的。
3分30秒あたりから、突如ドラムが入ってきて、ハイライトを迎える。 こちらもメリハリのよくついた快作。
バスドラムがどこまでも響き渡るような感じがする。音作りが素晴らしい。
シングルにもなって、ヒットを飛ばした。
9. Electric Mainline
8と9はほぼメドレー。流れがいい。
10. Lay Back in the Sun
なかなか爽やかな曲ですが、 歌詞は「薬でどこかへ行こうよ」としつこく誘っている、という内容です。
ちなみにピアースはマジモンのヤク中として著名だということです。(笑)
確かに他の曲もそういう内容の歌詞ばかりですね。
11. Good Times
この曲も5などと同様ドラムがいい。
曲が曲だけに、編曲が編曲だけに、ドラムがちょっと浮いている、というか。
空気を読まない、ちょっと耳障りなぐらいのドラムが、なんとなく心地いいですね。
13. Spread Your Wings
ストリングスがきらめく、美しい曲。
14. Feel Like Goin' Home
3分30秒あたりから静かな盛り上がりを見せた後、フェードアウト。
3. Ladies and Gentlemen We Are Floating in Space (1997)
邦題、「宇宙遊泳」。傑作といわれる、スピリチュアライズドの3rd。
2や6などの攻撃的な曲、10などの一風変わった曲など、 バラエティ豊かになったのがその理由でしょうか。
他にも色々やりたい放題やってますよ。
特に7や12などは、ストリングスやブラスを使って壮大なノイズを鳴らせていて、まさにカオス。
と、まあ前作までと比べると統一感には欠けるかもしれませんが、いいアルバムです。
9や11などの感動的な曲も揃っていますしね。お得なアルバムといえますね。
1. Ladies and Gentlemen We Are Floating in Space
荘厳なカノン進行の曲。
ピアースのけだるいボーカルがいいですね。
2. Come Together
今までにはなかったタイプの曲。
ピアースのボーカルもささやくようなものではなく、しっかりしてます。(笑)
ブラスやコーラスも出てきて、賑やかで楽しい曲。
3. I Think I'm in Love
1stの「If I Were with Her Now」のように、音の絶妙な絡み合いで魅せる曲。
ベース、ピアノ、サックス、ハーモニカが巧みな掛け合いを見せています。
2分30秒あたりにちょっとブレイクを挟んでドラムが登場。
エレキギターやブラスセクションまで出てきて、だんだん賑やかになってきます。
5. Stay with Me
4と5はメリハリのよくついた、お得意の曲調。
特に5は油断していると寝てしまいそうです。
6. Electricity
2の「Come Together」と同じ方向性の、攻撃的な曲。
エレキギターとブラスセクション、ハーモニカが音の海を作り出しています。
オルガンが小気味よくて、いい味を出してて好き。
7. Home of the Brave
打って変わって静寂な曲、と思いきや、中盤から徐々にノイズが入り始め、カオスに。
そのままメドレーのような形でほぼノイズで満たされた8へ繋がります。
9. Broken Heart
ストリングスとホルンの美しい曲。
10. No God Only Religion
なんかのサンプリングなのかな?
リズミカルでちょっと不気味なストリングスのリフが終始流れている。
それにブラスが無茶苦茶な音の重ね方をしています。
ドラムが暴れてていいです。空気を読まない感じがいいですね。
11. Cool Waves
ちょっと感動的。みんなで合唱してます。いい曲です。
12. Cop Shoot Cop...
ピアノ主体の怪しい雰囲気のバカ長い曲。16分ほどあります。催眠性抜群。
後半はだんだんカオスになってきます。
ピアニストはなんとドクター・ジョン。どういう経緯で?(笑)

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